墨出しは、設計図面にある建築物の寸法や位置などを把握するために大事な作業です。
主に建築現場や工事現場の鉄筋や材木、コンクリートなどのに施されます。
通り芯は、設計図面における壁芯や柱芯とは異なり建物の中心線を表します。
墨出しをする際は、規定の共通・特記の各仕様書に基づいたうえで、通り芯を基準として行うのが大切です。
今回の記事では、通り芯と墨出しの関連用語や作業内容などを解説しますので、ぜひご覧ください。
「芯出し」と「墨出し」は、建築現場で柱や壁の部材の中心線を示すために行う作業です。
通り芯とは、建築図面の製図表記で最もベースとなる基準線を意味します。
建造物の設計図や施工図を書く際には、通り芯を基準として製図を行います。
図面にある通り芯を基準として、墨出しをして目印をつけてくのが主な流れです。
あらゆる設計図面において、通り芯の位置が全体的な構図の中心となっています。
墨出しをするには、まずは図面を正確に把握するための力が必要です。
図面にある図記号や寸法の計算方法について、正しく理解しなければ作業はスムーズにできません。
現場での作業を滞りなく進めるためにも、墨出しは重要です。
墨つぼやレーザー墨出し器を使って、現場にしっかりと指標を示すことで作業員が仕事をしやすくなります。
墨出しの際は、2〜3人で協力しながら行うのが大切です。
通り芯に関連する言葉には、「壁芯」と「柱芯」の2つがあります。
それぞれに使用する場面が異なるため、意味と使い方を覚えておくのが大切です。
この章では、関連用語の意味や使い方について解説します。
壁芯とは、壁の中心線で設計図に書かれている線です。
設計図の中では、壁芯と柱芯が向かい合う形で書かれる場合が多いのが特徴です。
時折、壁芯と柱芯はそれぞれずれたり一致したりする場合もあります。
壁構造の建築物の場合は、壁芯がそのまま通り芯になるパターンもあります。
そのため、どのようになるのか図面作成者に確認が必要です。
鉄筋コンクリート造の建物の場合は、壁芯を面積の基準としています。
柱芯とは、柱の中心線として設計図に示されている線です。
柱芯は壁芯と並列する形で示される場合もあります。
柱芯を基準にして、柱芯間の寸法(スパン)をとっているのが特徴です。
壁芯と同様に、建築物の構造によっては柱芯が通り芯となる場合もあるので、設計図はよく見るのが大切です。
建築物の面積測定の際は、木造の建物は柱芯を基準として測定しています。
柱芯は各設計図において違いがあるので、確認が必要です。
建物の図面において壁芯・柱芯を示すのが、主に一本鎖線といった線種です。
製図をする際は、通り芯も一点鎖線といった線種で表します。
一本鎖線の役割は、平面図もしくは断面図、通り芯などを示すことです。
現在はパソコンでCADによる製図が行われているため、実際の作業でも線や記号などを見分けやすくなっています。
図面作成の中でも、通り芯はほかよりも先に記載していくので覚えておきましょう。
墨出しの主な流れは、下記の通りです。
1.親墨出し(基本墨出し)を行う
2.心墨と陸墨を上階へと移動
この章では、それぞれの段階について解説します。
墨出しに関わる方は、事前に確認してください。
まずは設計図をもとにして、現場内で基準線を書いていきます。
これを親墨出といいます。
柱の中心や梁の基準線を引く「芯墨」をはじめ、通り芯から一定の距離を置いて印をつける「逃げ墨」などが主な種類です。
そして、床・天井・梁の高さの基準線を示す「陸墨」も、墨打ちにおいては忘れずに行う必要があります。
これらの工程を一通り終えたら、心墨と陸墨の移動に進みます。
1階の基準の高さを示している陸墨は、基準点から直接的に上階へと移します。
一方で、芯墨は逃げ墨の交点を基準にして、専用の器材を使いながら上階へ移すのが主な流れです。
必要に応じて、柱の高さや位置、壁の厚みや位置などを基準隅から正確に打ち出します。これを「小墨出し」といって、作業工程の中でも大切な役割を担います。
位置がずれないように、正確性を重視するのが大切です。
建築物の設計図は、多くは二次元の紙の上で表現されます。
そして、図面からそのまま建築現場に投影されるのが主な流れです。
最近では、3次元CADを使用したBIMシステムなどを通して設計図が現場へと伝達される場合もあります。
デジタルの設計図は、手書きの設計図と異なり修正や微調整もできて便利です。
しかし、システムが進化しても通り芯は柱や壁の位置を正確に把握するためには欠かせません。
墨出しは各種工事に必要なさまざまな基準線を書き出す大切な作業です。
設計図をもとに、位置を示して建築・工事などを行うためには墨出しを細かく行う必要があります。
特に通り芯の位置は、設備や柱などの配置の基準なので重要です。
図面通りに作業が行われているかどうかは、現場監督(または責任者)の確認が必要です。
協力しながら、慎重に作業を進めていきましょう。