建物が狂わず正確に造れるのは、しっかりとした調査および計画があるからです。
しっかりとした調査に必要なものの1つが、高さの計測です。
高さが正確でなければ、建物は水平に建築できませんし道路であれば歪んでしまいます。
しかし、正しい方法がわからずに困っている方もいるようです。
そこで今回は、レベル測量の概要やコツ、オートレベルの使用方法について詳しく解説します。
レベル測量は、レベルという器具を用いて、2点間の高低差や地点の地盤高を測定する方法です。
建物やビルの最頂部の高さも計測できます。
一般的には、長い物差しであるレベルとスタッフを使用し、2人1組で測定します。
レベル測量の目的は以下のとおりです。
・適切な建設計画を立案するため、各地点(測点)の高低差を測り地盤の起伏および道路の勾配を正しく認識する
・建物の基礎部分を作る際に、水平がとれているか確認する
レベル測量は、建築や土木の現場において欠かせない測量の一つです。
ミスは決して許されないので、慎重に計測する必要があります。
レベル測量のコツは、以下のとおりです。
詳しく解説します。
レベルを水平に保持するには、三脚をしっかりと設置しレベルの水準器を確認します。
三脚の設置方法は以下のとおりです。
1.三脚下部のバンドを外して、ネジを緩め、三脚を適度の長さに伸ばす。
一本の脚を基準に、ほかの2本の脚を持って開きましょう。
2.三脚の頭面がなるべく地面に対し水平にする。
測量中に動かないように、三脚の下部を地面に押し込み、体重をかけてしっかりと固定しましょう。
三脚の脚は、程よい高さに伸ばしましょう。
スタッフを垂直に立てるには、スタッフの底面を地面と平行にしましょう。
スタッフを持つ方は、0を地面につけ、垂直に持ちます。
スタッフが斜めになると正確に測定できません。
水平器などを併用すれば正確に測定できます。
慌てずにスタッフの目盛をゆっくり読み取ります。
一方のレベルを読む方は、レベルの十字に合わせて、スタッフから目盛を読み取ります。
計測ミス防止のため、スタッフの正面の向きに気をつけましょう。
野帳を用意して測定値を書き留めましょう。
野帳とは現場で測量した際に計算結果をはじめ、さまざま記録するメモ帳です。
野帳の記入方法は器高式と昇降式があります。
現場で使用する場合は、器高式がほとんどです。
測量月日、天気、測量した場所を記入し、その下に計測した数値を記入していきます。
書き方はそれぞれ異なります。
測定値を間違いなくわかりやすく記入しましょう。
オートレベルの使い方自体は簡単なので、理解して焦らずに使えば間違えません。
ある程度、気泡を水平に近づけたら機械が自動的に水平を保つ仕組みです。
ここからは、実際の使い方について解説します。
道路などでは測点があるので、測量地点がわかります。
個人などで測量を行う場合は、測量する土地の任意の位置に測点を設けましょう。
例えば、家庭菜園の整地を行う場合、菜園の四隅や中央に均等な測点を設けます。
レベルの設置場所を決める際は、できるだけすべての測点が見える場所を選択します。
敷地内の障害物により測点が見えない場合、移動が必要で手間がかかります。
オートレベルは、比較的簡単に移動できますが、手間を増やさないためにも一か所で測量できたほうが効率的です。
なるべく敷地の端と端が均等になるように、中央で移動回数が少なくなる場所を選びましょう。
勾配がきつい位置も避け、できるだけ平面で地盤の固まっている場所を選んでください。
設置場所が決まったら三脚を設置します。
三脚が固定できたら以下の要領でオートレベルを設置します。
1.オートレベルを固定した三脚の脚頭に乗せて、底面の雌ネジに三脚の頭部の下から定芯桿ネジをねじ込み固定。
2.方向角を測るなどで水平目盛つきの本体を用いる場合など、あるポイント上に正確にオートレベルを設置する必要があるときは垂玉を使用。
定芯桿の金具に垂玉吊り糸を吊り下げ、垂玉がポイントの真上に来るようにオートレベルを調整。
本体下部の整準ネジを回して、気泡管を覗き真ん中に気泡がくるように調整しましょう。
本体が水平になったら望遠鏡を覗きます。
中に黒い十字線がありますので、ピントを合わせるために、合焦ネジを回転させます。
1.望遠鏡を3本の整準ネジの中の2本と並行の位置に向ける。
続いて、円形気泡管の気泡を平行にした整準ネジを2本同時に回して、気泡が整準ネジのほぼ中央に来るように動かす。
2.残りの1本のネジを使用して、気泡を円形気泡管の中央に動かす。次に、望遠鏡を180°回転させて確認する。
もし気泡が真ん中にならない場合は異常がある可能性があります。
レベル測量は、土地の高低差や水平出しを行うための重要な測量方法で、建築現場や土木工事には必要不可欠です
目視では困難な整地や水平の確認もできます。
現在、ほとんどの現場の測量では、オートレベルが使用されています。
オートで水平がとれるので、手軽です。
また、慣れてさえしまえば正しく測量できます。
測量は間違えてしまうと現場に大きな影響を与えます。
慣れるまでは今回の記事を参考にして、慌てずに少し時間をかけて間違えないようにゆっくりとスタッフを読みましょう。