逃げ杭の言葉自体は知っていても、打ち方の詳細までを理解できている方は少ないでしょう。
逃げ杭とは境界杭を元の位置に戻せるように補助的な役割を果たします。
そこで本記事では逃げ杭の打ち方や打つ場所について詳しく解説します。
最後まで読めば、逃げ杭を打つ際のコツがわかり適切な場所に打てるようになります。
対象の杭を中心に予備の1点を含む3点に打ち込みます。
2点の場合は、対象を中心にして各々の逃げ杭が直角になるように打設しましょう。
この方法は、境界杭を復旧する際や動いていないかを確認する際に役立ちます。
設置しておく期間が長いので、杭に触れてずれないように杭自体を目立たせるのが重要です。
この作業を怠ると杭がずれ、重機に踏まれて杭が破壊されてしまうケースがあります。
もちろん作業場所を選んで、重機の通り道以外に設置することも大切です。
近すぎると、重機によって壊される可能性が高くなります。
離れすぎていると、根切底が見えずに捨てコンクリート上に墨出し作業が困難です。
設置位置の設定は多少経験が必要です。
地盤が土ではなく、逃げ杭の設置が難しい場合があります。
ピンの設置や壁に墨を打つなどの代替方法を使用しましょう。
対象の杭を中心に正三角形を結ぶ3点に打ち込むのが理想です。1カ所は予備にですが、2カ所でも十分役立ちます。3点を設置できれば万一そのうちの1本が動いてしまっても、残りの2点から正確な位置の割り出しが可能です。
建物の規模にはよりますが、測量をイメージしながら設置位置を検討します。
逃げ杭は、測量する際の目安です。
建物のまわりや中央の通路にも設置しましょう。
光波のついた測量機器を使用する場合は、通り芯から逃げ杭までの距離を記録しておくと、あとから参照できます。
ここでは、逃げ杭を打つ際の注意点を詳しく紹介します。
1点ずつ見ていきましょう。
逃げ杭は、動かない場所に設置し、目立つようにしましょう。
長期間にわたって設置するため、動かないように工夫する必要があります。
また、杭が触られないように、目立つようにしておくことが大切です。
重機に踏まれて杭が破壊される可能性があります。
掘削底を確認するために、逃げ杭の上に測量機器を設置します。
測量機器は掘削床が見える位置に設置しましょう。
逃げ杭に限らず、杭打ちは測量の仕事では必要不可欠です。
杭をうまく打たないと、仕事が順調に進みません。
杭の頭とハンマーを水平に当てると真っ直ぐに杭が打ち込めます。
杭を打つときに少しだけ腰を落とすと安定します。
真っ直ぐ打てるようになるまでには、時間が必要です。
傾いた杭は、すぐに修正が必要です。
逃げ杭を打設したあとは、スケールで正確に計測しましょう。
ポイントは、キリのいい数字に合わせて釘を打つことです。
スケールは2人で持って計測します。
真上から見ないと誤差が生じる可能性があります。
ここからは逃げ杭と境界杭の関係を3点紹介します。
1点ずつ詳しく見ていきましょう。
逃げ杭は新築の現場管理では必要です。
建物の直線や直角を出すために設置する杭です。
建築現場では測量機器を使用して建物の寸法や形状を管理しましょう。
測量機器には、トータルステーションやトランジットがあります。
測量するプロセスは、まず土地の境界の境界杭などから建物の位置を出します。
平面上で四角形の建築物の一例を見てみましょう。
建築物の4つ角のポイントに杭を打つ際には、計測が必要です。
ただし、その杭だけで工事を進めると問題が発生する可能性があります。
掘削を行った際に杭がなくなり、建物の角の位置が把握できません。
逃げ杭とは、特別な杭の一種です。
測量点に使用する杭は工事中に消えてしまいます。
建物の角の位置が見えない場所にも必要です。
逃げ杭は、境界杭や測量点の代わりにです。
逃げ杭を打つことで、建物の角の位置を見失わずに済みます。
境界杭は、土地と土地の境目に存在します。
目的は、目に見えない境界線を示すためです。
境界杭を設置すれば境界トラブルを未然に防止できるでしょう。
境界杭は、壊れにくい素材で作られています。
石やFRPがよく使われますが、金属製もあります。
境界は、登記簿に記録されていますが、現場での見分方は困難です。
境界の位置を明確にするために打ち込む杭を、境界杭と呼びます。
境界杭を見えなくするのは、刑法上の罰則が適用され、5年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されるので、勝手に撤去はできません。
通り芯とは壁や柱の中心を通る線です。
柱と柱の中心を結ぶ際は直線で表しましょう。
柱は格子状に配置するので、通り芯もグリッド上に表せます。
各通り芯にナンバーを振れば、共通情報として活用可能です。
部材配置の誤りなどを防止できます。
設計図を作る際の最初のプロセスが通り芯の設定です。
通り芯は、水平方向の基準線です。
逃げ杭は着工時に設置して、基礎コンクリートの打設後の基礎天端の墨出し、土間や基礎の定番部分のコンクリート打設後の墨出しなど、数回使用します。
逃げ杭は、測量をスムーズに進めます。
動かさず、スプレーなどで色をつけて見やすくしておくといいでしょう。
測量の経験が少ないと、杭打ちは難しい作業です。
杭打ちを何度も練習すれば、コツがつかめます
逃げ杭は、工事で壊れる場合があります。
それはやむをえません。
逃げ杭は、互いに一定の距離を保っています。
壊れた逃げ杭の位置を、ほかの逃げ杭から計測し復元できます。
現場の状況をよく確認して、適切な位置に配置しましょう。