土木工事や建設工事などさまざまな事業に欠かせないのが測量です。
測量にはさまざまな方法がありますが、現在主流となっているのがGNSS測量です。
本記事では、GNSS測量とはどのような測量なのか、定義やメリット、利用する際の注意点を紹介します。
GNSS測量を依頼したい方や興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
GNSS測量とは、全地球測位システム(通称:GPS)など衛星測位システムを用いて行う測量の総称です。
かつては、アメリカが所有するGPS衛星だけを用いて測量をしていたのでGPS測量と呼ばれて今したが、現在は日本の測位衛星「みちびき」、ロシアの測位衛星「GLONASS」、欧州の測位衛星「ガリレオ」など、複数の測位衛星を用いるようになったので、GNSS測量と呼ばれています。
トータルステーションを用いて既知点からの距離と角度を計測して位置を測定するTS測量に対し、GNSS測量は衛星の位置と観測地点までの距離から位置座標を計算して測量を行います。
この位置座標は「世界測地系」といって世界共通の位置基準です。
平成14年4月より、位置を表す基準として日本測地系から移行しました。
世界測地系を用いて測量を行えば、地震や津波などで大きく地形が変わってしまったとしても、正確な測量が可能です。
GNSS測量は、衛星測位システムを使い短期間で正確に測量ができる方法です。
ここでは、GNSS測量のメリットを解説します。
TS測量が2人1組で行うのに対し、GNSS測量は1人で正確な測量を行えます。
また、衛星の利用により1人でも広範囲の測量を正確に行えるため、人件費の節約にもなります。
さらに、天候にも左右されず、日程に余裕がない場合でも大丈夫です。
夜間でも測量ができるため、長時間測量できる点も大きなメリットです。
従来のTS測量では、高い建物などの障害物があると測量結果に誤差が生じやすいといったデメリットがありました。
しかし、GNSS測量の場合は測位衛星からの情報を元に計測するので、上空さえ開けていれば障害物があっても正確な測量が可能です。
したがって、高層ビルがたくさんある場所でも、障害物がない開けた場所と同じ正確さで測量ができます。
場所を選ばず正確な測量を短時間で行えるのは、大きなメリットです。
GNSS測量の誤差は、3cm程度です。
100万分の1 (10kmで1cmの誤差)の精度といえば、よりわかりやすいでしょう。
従来のTS測量の誤差に比べれば格段に誤差が縮まったのは大きなメリットです。
しかし、誤差が0になったわけではありません。
測量の内容によっては、数センチの誤差が許されないものもあるでしょう。
ですから、誤差が0ではないと認識して測量を行う必要があります。
GNSS測量には、「単独測位」と「相対測位」の2つの測位方法があります。
単独測位とは、4機以上の測位衛星からデータを受信し、まず衛星から電波が発信されてから受信機に到達するまでの時間を測定します。
この時間を距離に換算して、受信機の位置を測定する方法です。
測位衛星は、位置が正確にわかっているので、基準点となります。
また、4機以上の衛星を用いて観測点までの距離を同時に測定するのでより正確な位置がわかります。
ただし、電波が受信機に到達するまでに誤差が生じる例も多いので、通常10cm程度の誤差が生まれるのが一般的です。
単独測位は、カーナビや船舶・飛行機の位置測定などに使用されています。
一方、相対測位とは4機以上の測位衛星からのデータを受信するのは同じですが、受信機が2台に増えます。
2点の観測値の差を考慮して位置を求められるため、誤差を100万分の1(10kmで1cmの誤差)まで精度を高められるのです。
GNSS測量は、測位衛星からの電波を受信して位置を測定します。
したがって、地下をはじめとする電波が届かない場所では測定できません。
また、電波塔や高圧線など受信障害が発生する可能性がある場所や、電波の反射障害が発生する恐れがあるトタン屋根や大きな金属製の看板がある場所などでは、正確な測定ができない恐れもあります。
GNSS測量は、専用の受信機を用いて行います。
この受信機はレンタルや販売を行っているので、使用できる方がいる場合は購入したりレンタルしたりして自分で行ってもいいでしょう。
また、カーナビやスマホのGPS機能などでも簡易的な測定はできます。
一方、GNSS測量を業務として行っている会社は、より高性能な受信機を用いて正確な測量を行っています。
誤差を限りなく0にして正確な測量を行いたい場合は、専門の業者に依頼して測量を行ってもらいましょう。
GNSS測量は、カーナビや携帯電話の位置情報など意外と私たちの身近に使われている測量方法です。
また、通常のTS測量に比べると電波が正確に受信できる場所ならば、誤差数センチで短時間で測量が可能です。
GNSS測量のメリット・デメリットと特徴を把握して、TS測量とうまく使い分けましょう。