墨つぼの使い方とは?種類や選び方のコツについて解説

墨つぼは、大工道具として欠かせないものです。
木材などに直線を引くための道具として使われています。

木材など断面に凹凸がある場合、定規と鉛筆を使用して直線を引くとき線が歪んでしまうでしょう。
墨つぼを使用すると線が歪まないため、大工道具として重宝されました。

直線の引き方は大工技能検定でも重要なポイントです。
本記事では墨つぼの使い方や種類について解説します。

墨つぼの使い方とは?種類や選び方のコツについて解説

墨つぼの仕組みと使い方

まず、墨つぼの形状や仕組みと各部位について紹介します。
実際に墨つぼを活用した線の引き方も解説しますので、使い方を知りたい方は参考にしてください。

仕組み|数種類のパーツから成り立つ

墨つぼは糸を巻き取るハンドルと、墨付けボタン・糸ガイド・カルコ(軽子)のパーツから成り立ちます。
糸の巻き取りは自動でできるものと手動のものがあります。

カルコは、糸をまっすぐ引くために始点のポイントに刺して固定する役割です。
墨付けボタンと糸ガイドとカルコを活用すると、断面に凹凸がある材質でも直線を引けます。

使い方|墨と糸を駆使する

続いて墨つぼの使い方を説明します。
墨つぼの使い方は以下の3つの手順で行います。

1.墨を詰める
2.墨糸を引き出す
3.墨糸をはじく

カルコで始点を固定したらゴールとなる終点まで墨つぼを持っていきましょう。
墨付けボタンを押しつつ糸を出します。

終点となる位置の手前で糸を引っ張り、糸ガイドを線を引きたい材質に押し付けると墨付けの完成です。

墨つぼを活用してまっすぐ線を引くには練習が必要です。
墨つぼには墨汁を使用するタイプとチョークを使用するタイプがあります。
まずは線を削除できるチョークタイプから始めるとよいでしょう。

墨つぼの種類とは?

墨つぼは、使用する目的によりいくつかの種類に分かれます。
今回は使用目的別に紹介しますので選ぶときに参考にしてください。

まず木材などにはっきりとした線を引きたいときは、墨つぼを使うのがベストです。
特に鉛筆と定規ではまっすぐ線を引きづらい材質のものにピッタリです。

線を引く位置を決めるのが目的であれば、チョークラインを使用します。
墨つぼは一度引くと消えにくい性質を持っています。
位置決めは修正しなければならない可能性もあるため、チョークラインを使用しましょう。

外出先で墨つぼを使用するのであれば、小型の墨つぼを選びましょう。

墨つぼを使って直線を引く方法とは

ここからは実際に墨つぼを使って直線をきれいに引く方法を紹介します。
直線を引くには次の5つの手順に沿って作業しましょう。

1.墨汁の量を適量に保つ
2.カルコは深く刺す
3.糸は強く張るようにする
4.墨つぼをまっすぐ持ち上げる
5.墨汁が乾いてしまう前に打つ

墨つぼの内部にあるつぼ綿に含ませる墨汁は多過ぎるとにじみ、少な過ぎると線が薄くなってしまいます。

墨を打つために、線を引きたい材料にカルコを深く刺します。
刺し方が浅いと糸を離した瞬間、自分の方に糸や針が飛んでくるので注意が必要です。

墨つぼをまっすぐ持ち上げて、糸は強く引っ張るようにして離すと墨打ちが完了します。
墨汁が乾いてしまう前に作業を行うのが大切です。

墨つぼを使うメリット・デメリット

墨つぼを使うメリット・デメリットをそれぞれ説明します。

まずメリットとして挙げられるのは、はっきりとした線を引ける点、線が消えづらい点です。

デメリットとして挙げられるのは、一度引いた線は消えづらい点です。
色も変えられないので、仕上げ線としては使えません。
また、使用時間が長いと墨汁が乾いてしまうのでメンテナンスが必要です。

大工技能士|墨つぼの使い方を理解せねばならない資格

大工技能士は国家資格なので、資格を取得すると大工の仕事に関連する技術があると言えます。
大工技能士の資格を取得する試験の中には、墨つぼを使った墨付けが含まれます。

使い方にも関わる!墨つぼを選ぶコツ

墨つぼは糸を抑える部分や、糸の太さなどにより以下のようなタイプがあります。

・斜めカット
・鶴首・バリカンタイプ
・自動巻取機能付き
・二色タイプ

これら4つの墨つぼについて紹介します。

斜めカットのタイプは高所など押さえにくい場所に適しています。
鶴首・バリカンタイプは狭い場所で使うと便利です。

自動巻取機能が付いた墨つぼは、墨付けで使用した糸の回収を自動で行います。
ただ手動巻き取りタイプより価格は上がります。
黒以外の色を使用したい場合は二色タイプを使用するのが便利です。

墨つぼは使用する目的や場所によって適した形状のものを選びましょう。

まとめ

天井や床を張るときなど、木材に直線を引く作業は大切です。
古くから基準線を引くために墨つぼが使われてきました。
墨つぼを使ってまっすぐな基準線を引くと仕上がりがきれいになります。

断面に凹凸のある木材などでもまっすぐに線を引けるので便利な道具です。
墨つぼのほかにチョークラインもあるので使用目的に適した道具を選びましょう。

使い方には少しコツが必要です。
本記事を使い方や選び方の参考にしてください。