工事現場の工程において、測量はとても重要な役割を担っているといっても過言ではないでしょう。
本記事では測量に使用する機器について、その特徴や使用方法までわかりやすく説明します。
また、初心者が陥りがちなミスや注意点にも触れ、正しく取り扱うためのポイントを解説します。
この記事を読めば、初めて測量を行う方でも正しく測量ができるようになるでしょう。
以下の表は光波とトランシットの違いを表したものです。
項目 | 光波測量 | トランシット |
測量対象 | 距離 | 角度 |
使用原理 | 光による反射光の測量 | 赤外線レーザーによる角度の読み取り |
精度 | 高い | 高い |
測量範囲 | 広い | 狭い |
外部要因の影響 | 天候に左右される | 天候に左右される |
扱いやすさ | 扱いやすい | 扱いやすい |
購入金額 | 高価 | 高価 |
上記表の通り、光波とトランシットの測量目的は同じですが、測量ポイントは異なります。
どちらの機材も高額なため、取り扱いには十分に注意が必要です。
最近では機材のレンタルなどを行っている業者も登場しています。
光波測量は3つの種類があります。
特徴や用途、メリットについては以下の通りです。
種類 | 特徴 | 用途 | メリット |
トータルステーション | トランシットと距離計が一体型 | 建設現場での使用が多い | 高精度な測量が可能 |
ノンプリズム | 反射板を使用しない測量機器 | 地形測量・崩落事故の安全監視など | 反射板を使用しないため、反射板のない物体でも測量ができる |
電子野帳搭載 | 電子野帳プログラムを内蔵したトータルステーション | さまざまな用途で使用可能 | データを容易に保存、共有、編集できるため、効率的な測量が可能 |
それぞれの機器には、特定の測量方法が必要とされるため、状況に合わせて適切な機器の選択が重要です。
トランシットには3つの種類があります。
特徴や使用場所、メリットについては以下の通りです。
種類 | 特徴 | 使用場所 | メリット |
光学トランシット | 分度盤の情報で角度を読み取る | 建築、土木工事、道路工事、森林調査など | 測量値が数値で表示されるため、誤読のリスクが低い |
レーザートランシット | レーザーを反射して角度測量を行う | トンネルの位置だし
シールドマシンの方向制御など |
レーザー測量で高い精度が得られる |
電子トランシット | 電子的に角度を測量 | 建築、土木工事、道路工事、橋梁工事、探査など | データの保存が簡単で、あとから確認しやすい |
上記表でわかるように、トランシットには光学、レーザー、電子の3種類があり、状況によって適切な機器の選択が重要です。
光波距離計を使用するには、正しい手順を学ばなければなりません。
光波距離計を使用するための手順は以下の4つです。
・測量するポイントを決める
・光波測量器をポイントに向ける
・対象物へ対象物へレーザー照射する
・測量器が計算した距離を表示する
測量ポイントを決めるには、正確な目標と測量範囲を考慮して、最適なポイントを選択する必要があります。
測量対象の形状、大きさ、位置に合わせてポイントを定めましょう。
測量するポイントが決まったら、測量器を正しくセットアップし、三脚に取り付けます。
測量器を支える三脚は測量誤差を防ぐために、平らで水平な地面に設置しなければいけません。
必ず、水平な場所に三脚を立てるようにしましょう。
対象物に赤外線レーザーを照射します。
対象物にしっかり照射されているかチェックが必要です。
万が一、照射ポイントが外れている場合は、機器本体で調整しましょう。
測量器が表示した距離を確認します。
赤外線レーザーで照らした場所を『0セット』と定めて観測します。
観測するときには『0セット』を定め、計測によるズレを防止しましょう。
トランシットも光波距離計同様に、正しい手順での操作が必要です。
トランシットを使用するには4つの手順があります。
三脚を安定した場所に設置します。
三脚の高さは、使用するトランシットの高さに合わせて調整します。
トランシットを三脚に取り付けます。
取り付ける際には、落下させないように慎重に取り付けてください。
トランシットを水平に整準します。
トランシットの水平性は、気泡管の気泡の位置で確認しましょう。
最後に望遠鏡を使用して、ピントのズレを直します。
測量者が変わる場合は、その都度調整をしましょう。
初心者が光波測量やトランシットの使用をする際に起こしやすいミスは主に3つあります。
・測量するポイントを正確に設定しない
・機器を正しくセットアップしない
・機材を雑に扱い壊してしまう
それぞれについて、解説します。
測量するポイントを正確に設定するのは、工事現場では非常に重要です。
測量ポイントを誤ると工事が正しい工程で進みません。
測量が不慣れな初心者であれば、ベテランの方に確認してもらうなど、ミスが起きにくい状況にするのが必要です。
機器を正しくセットアップしないと、機器が正しく動作しません。
正しく作動しなければ測量不良につながるので、先輩などに機器のセットアップを確認してもらうとよいでしょう。
機材には適切な取り扱い方法があります。
機材を丁寧に取り扱えば、機材の寿命を延ばすだけでなく、コスト削減や生産性の向上にもつながります。
測量機器は非常に高額ですので、機材は丁寧に取り扱いましょう。
測量機器を正しく取り扱うためには、以下の3点に注意が必要です。
・測量機器を濡れたままにしない
・保管は施錠などで厳重に
・定期的メンテナンスを行う
測量機器は電子構造のため、水に濡れると故障する可能性があります。
そのため、雨の日での作業が終わったら、タオルなどでしっかりと機器を拭きましょう。
測量機器は高価なため、厳重な保管が必須です。
施錠する鍵も紛失しないよう、保管場所も決めておくとよいでしょう。
測量機器は高価な機材であるため、定期的なメンテナンスは大切です。
なお、機器のメンテナンスは、メーカーが推奨する方法に従って行いましょう。
本記事では、光波測量とトランシットの違いやそれぞれの特徴から注意すべき点について解説しました。
適切な機器を選び、正確な測量を行うには、正しい知識と使い方の理解が必要です。
今回紹介したポイントに注意しながら、作業を継続していきましょう。