「墨出し」について聞いたことはありますか?
日常生活で耳にするのは少ない言葉なので、あまり知らない方も多いのではないでしょうか。
墨出しとは建築の現場の役割の一つで、建築工事において重要な要素です。
今回の記事では、この墨出しとはどんな仕事なのか、また墨出しを専門とする「墨出し工」の労働環境はどのようになっているのかについて詳しく解説を行っていきます。
墨出しに興味のある方、墨出し工として働こうと考えている方はぜひ参考にしてくださいね。
『墨出し』は、建築を始めていく際にまず行うべき仕事とされており、墨出しが完了しなければ建築業務は始められないとまで言われています。
では、実際の墨出しとはどのような仕事を行なっているのでしょうか。
ここでは、墨出しとはどんな仕事なのかについて解説を行っていきます。
墨出しとは、柱の位置や壁の大きさといった図面の情報を、実際の建築現場に原寸大で記していく仕事を指します。
建築において図面は非常に重要な役割を持っていますが、机上のサイズの図面のままで建築現場の大人数にビジョンを共有するのは困難です。
墨出しによって「基準線」やそのほか図面上の情報を現場に表示させると、図面通りの建築を円滑に行えるようになります。
上記のように建築の現場でとても重要な役割を持つ墨出しですが、墨出しにはどのような仕事が含まれるのでしょうか。
墨出しには以下のように非常に多くの種類があります。
● 基本墨出し:一般的な墨出し。柱や梁、天井、床などの基準線を引く。また、引いた墨を上階へ移す仕事なども含まれる。
● 型枠関連の墨出し:コンクリートの位置を示す墨を引いたり、ルーフドレインやアンカーなどの位置を示す墨を引いたりする。
● 設備関連の墨出し:電灯や空調といった、建築の各設備に関する墨を引く。
● 鉄骨関連の墨出し:鉄骨のアンカーベルトの位置や、鉄骨が垂直になっているか、あるいはどれだけ歪んでいるかなどに関する墨出しを行う。 …など
このように、墨出しは建築を進めていくためには不可欠な仕事なのです。
ここまで紹介してきた墨出しですが、どのような道具を用いて行うのでしょうか。
墨出しに用いられる道具には以下のようなものが含まれます。
名称 | 用途 |
墨壺 | 墨出しをするためのメインアイテム。
墨を吸わせた綿を墨壺に入れ糸を通し、この糸を用いて基準線を引く。 |
トータルステーション | 指定した地点の角度・距離を測定する機器。角度を測定できるセオドライトと距離を測定できる光波の両者の特徴を持つ。 |
レベル(オート・レーザー) | 高低差の測定を行う。 レーザーで測定を行うレーザーレベル、自動補正を行うオートレベルがある。 |
水平器 | 地面との角度・傾斜を示す。 |
スケール | ポータブルな巻き尺。 メジャーと呼ばれることも。 |
差金(さしがね) | L字型のものさしに似た器具。金属製のものが多い。
長さの測定、直角かどうかの確認に用いられる。 |
下げ振り器 | 糸の先端に重りがついている。
柱の垂直を確認する際に用いる。 |
このように、さまざまな道具が墨出しには必要となっており、的確な墨出しを行うにはこれらをすべて使いこなせるようになるのが大切です。
ここまで紹介してきた墨出しを行う職業を、墨出し工と呼びます。
墨出しについて知りたいと考えている方の中には、墨出し工についても知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、墨出し工の労働環境や、墨出し工になるためにはどうしたらいいのかについて解説をしていきます。
墨出し工の労働環境情報は以下のようになっています。
仕事内容 | ● 基本的に2人1組で業務を行う(1人の時もある)
● 高所等にはいかず、墨出しのみを行う。 |
勤務時間 | AM8:00ごろ~PM5:00ごろ |
平均的な収入 | およそ25万円/月(11000円/日) |
一般的な建築現場は重いものを運んだり高いところに上ったりするのが多いように感じられるかもしれません。
しかし、墨出し工は基本的に墨出しのみを行うため、そういった業務を行うのは少ないです。
ここまで紹介してきた墨出し工ですが、建築を進めていくにあたって欠かせない仕事かつ、精密さが求められる職業でもあります。
こう聞くと難しい仕事と感じられるかもしれませんが、特別な資格は要らず未経験者でも始められる職業なのです。
墨出し工のキャリアはまず見習いとしてスタートし、ベテランの先輩と2人1組で仕事を勧めながら知識や仕事の進め方を叩き込んでいきます。
経験を積んでいくと、やがて指名が入るようになる方もいます。
このように、墨出し工は未経験から始まり職人へと育っていく職業です。
今回の記事では墨出しがどういう職業かについて紹介しました。
精密で確実な仕事が求められる、責任重大な職業です。
特別な資格の要らない未経験でもはじめられる職業のため、仕事の内容・感覚をきちんと理解しキャリアを積んでいきましょう。